質問が来ていました。

教育機関や企業研修、新人指導において「受け身な生徒」を、受け身から脱却させることは可能ですか?可能であるならばどのような手段で?可能でないとしたらそれは何故?

これに、ネットのとあるところで回答しましたので、こちらにも転載いたします。

画像はAI生成しております。

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生徒の積極性のなさに、どう対応したらいいのかという質問として受け取りました。

私は子ども向けのプログラミング教室で、生徒が自分でやりたいことを見つけながら進める形の指導をしています。そのため、生徒の自主性や積極性については、ここ5、6年ほどずっと考えてきました。

私が考えるに、生徒が自主的に動かないときには、主に次の5つを確認する必要があります。

  1. エネルギーがない

  2. 動機がない

  3. 手法・知識がない

  4. 自分には「許可」がないと思っている

  5. 自主的に動ける「環境」にないと思っている

自主性や積極性を単純に本人の性格や「やる気」の問題にせず、この5つのどこが欠けているのかを見る必要があります。

1.エネルギーがない

私は生徒を見るとき、その日の「エネルギー」を常に観察しています。

もちろん数値として測れるものではありませんが、「今日は80%くらいありそうだ」「今日は20%くらいしかなさそうだ」という感覚で、挨拶をした瞬間から見ています。

自主的な活動というのは、実はかなりエネルギーを使います。

何をするか決める。方法を考える。必要なものを準備する。実行する。最後までやり切る。

これだけ多くのプロセスを自分で回さなければならないからです。

だからこそ教育的な価値も高いのですが、本人にそのためのエネルギーがなければできません。

受け身に見える生徒は、単にエネルギー不足で「省エネモード」になっている可能性があります。

2.動機がない

二つ目は、その活動をする理由が本人の中にあるかどうかです。

いくらエネルギーがあっても、それをその活動に向ける意味がなければ人は動きません。

報酬があるからやる。罰を受けたくないからやる。先生や友達がいるからやる。自分の訓練になるからやる。世の中の役に立つからやる。単純に面白いからやる。

動機にはいろいろあります。

逆に、本人の中に何の動機もない活動を自主的にやらせるのは、ほとんど無理です。

まず「なぜこの生徒は動かないのか」と考える前に、その活動をやる理由が本人にあるのかを確認する必要があります。

ただし、報酬や罰のような直接的な動機づけには注意が必要です。

これは短期的には非常に強力ですが、長期的には慣れてしまい、さらに強い報酬や罰が必要になっていきます。指導側にとっては非常に使いやすいだけに、「甘い罠」でもあります。

使うのであれば、必ず出口戦略を持つ必要があります。思いつきで設定してはいけません。

3.手法・知識がない

三つ目は、単純にやり方がわからないということです。

エネルギーもある。動機もある。でも、どうすればいいかわからない。

これは非常によくあります。

例えば、野球少年が「ホームランを打ちたい」「160キロを投げたい」と思っていても、そのための技術がなければできません。

技術がなければ教える必要があります。

もちろん説明しただけですぐできるようになるわけではありませんが、少なくとも必要な知識や道筋は指導側が提示できます。

ここにカリキュラムの役割があります。

「この順番でやっていけば、ここまでできるようになる」

という道筋を見せることで、生徒は一歩ずつ進めるわけです。

自主性を求める前に、必要な知識や方法をきちんと与えているかを確認する必要があります。

4.自分には「許可」がないと思っている

四つ目は、自分で動いてよいと思っているかどうかです。

これは特に子どもを見るうえで重要です。

子どもは基本的に、親や先生から許可された範囲の中で行動しています。そして、その「許可されている範囲」は、育ってきた環境によって大きく違います。

何をするにも一つずつ許可をもらって育った子は、自由な場を与えられても、一つずつ「これをやっていいですか」と確認します。

さらに、明示的に許可されなければ何もしない生徒もいます。

そういう子に、

「ここでは自分で考えて動いていいんだよ」
「むしろ、それが大事なんだよ」

と伝え、実際に行動できるようになるまでには、1年、2年とかかることもあります。

長年身についた行動パターンだからです。

これは企業でも同じです。

普段は「決められたこと以外をしてはいけない」と教育しているのに、研修だけで「自主的に考えて動いてください」と言っても矛盾します。

会社として、本当に自由に考えて動くことを認めているのか。その許可が従業員に明確に伝わっているのか。

特に大人の研修では、ここを曖昧にしてはいけないと思います。

5.自主的に動ける「環境」にないと思っている

最後は環境です。

「自分で動いてもいい」というのが許可の問題だとすれば、「自分で動いた結果がどう扱われるのか」が環境の問題です。

自分で考えてやってみて、失敗しても受け入れてもらえるか。

制度上は「自由にやっていい」と言われていても、実際に失敗したら責められる。余計なことをしたと思われる。周囲から浮く。

そんな環境なら、人は当然、自分の能力をセーブします。

自分の考えより周囲の流れを優先し、結果として受け身になります。

自主性を求めるのであれば、「自分で動いても大丈夫だ」と本人が信頼できる環境を作る必要があります。

自主性は「本人だけの問題」ではない

以上、

  1. エネルギー

  2. 動機

  3. 手法・知識

  4. 許可

  5. 環境

という5つの観点から考えてきました。

受け身な生徒に「もっと積極的になりなさい」と言うだけでは、あまり意味がありません。

その活動をするエネルギーがあるのか。動機があるのか。やり方を知っているのか。自分で動いてよいと思っているのか。そして、自分で動いても大丈夫だと思える環境なのか。

この5つのどこが欠けているのかを、指導側が見なければなりません。

積極性や自主性を本人だけの資質として考えるのではなく、それが発揮される条件を教育側が作れているかどうかを見る。

私は、それが「受け身な生徒」を変えていくための出発点だと思っています。

参考になれば幸いです。