アイアルクのアンケートの中でも、「コミュニケーション能力?」は大変ニーズが高いものとして、私自身も認識しています。
ただ、私たちのように教育をプロとしてやっている人間からすると、「コミュニケーション」と「能力」という2つの言葉が、無条件でつながるとは考えていません。
まず、教育をプロとしてやっている人間からすると、「能力」という言葉については、より厳密な定義を持っています。
個人で完結すること。
その能力の評価の仕方が確立していること。
その能力を何かしらの方法で伸ばすことができること。
この3つが揃った時に、教育業として扱う意味のある「能力」になるわけです。
コミュニケーションは本当に能力なのか
そういう視点で見たときに、コミュニケーションというものが本当に「能力」なのかについては、きちんと考える必要があります。
コミュニケーションとは当然、相手がいて、そして相手との関係性の上に成り立つ営みです。
ですので、個人で完結しているとはとても言えません。
たとえば、関係性さえできていれば、言葉を知らない赤ちゃんや、ペットの猫ともコミュニケーションを取ることは可能です。
しかし、それができたからといって、ある個人、たとえばお母さんやペットの飼い主の「能力」と言っていいのか。
ここに、私は強い疑問を持っています。
評価できるものなのか
二つ目に、評価の仕方が確立しているのかという問題があります。
つまり、「コミュニケーションが取れた」ということに対して、イエス・ノー、あるいは「できた・できない」という評価が確立していると言えるのか。
これにも疑問があります。
自分ではコミュニケーションが取れたと思っていても、相手から見たらそうではないということはよくあります。
仮にコミュニケーションが取れなかったとしても、それを相手のせいだと一方的に言うことが本当に可能なのか。
もしくは、そういう態度を取ること自体が、コミュニケーション能力があると言えるのかどうか。
この点についても、小林はかなり強い疑念を持っています。
伸ばす方法があるのか
三つ目は、伸ばす方法があるかどうかです。
ある特定の能力として、コミュニケーションを伸ばす方法があるのか。
これもちょっと違うのではないかと考えています。
そもそも、一つ目、二つ目のところで疑問があるものに対して、「コミュニケーションを伸ばす能力」として見て伸ばすことができるのか。
ここもかなり疑問になってきます。
教育業の使命は、能力を伸ばすことだけではない
ただし、教育業というのは、能力を伸ばすことだけが使命ではありません。
能力以外にも、たとえば倫理観、態度、興味や関心というものを育てることも、大きな使命だと小林は考えています。
なので、コミュニケーションを取りたいと考える人たち、もしくはコミュニケーションが大事だと考える価値観は、育てる必要があると考えています。
しかし、これはコミュニケーション「能力」ではない。
能力ではなく、態度や倫理観や、相手に対する興味。
そういったものを育てることが大事だと考えています。
コミュニケーションは報酬であり、教材でもある
子どもたちにとって、コミュニケーションというのは、成立したら楽しいと感じる一つの報酬としても働きます。
また、コミュニケーションを取ることで、友達や教師から新たな発見を得て、自分が伸びるという一つの教材としても働きます。
だからこそ、コミュニケーションをしっかり取れてきた、取ってきたという自信を積み重ねることが大切です。
その積み重ねが、結果的に「コミュニケーションを取ろう」という前向きな態度を育てることになると、小林は考えています。
コミュニケーションを能力として評価することへの懸念
この考え方から見た時に、昨今の「コミュニケーションを能力として見て評価をしよう」という態度に、非常に強い懸念を持っています。
それは、コミュニケーションが取れなかったことを相手のせいにして、「コミュニケーション能力がない」と糾弾する態度が、相手、この場合は子どもになりますが、その子どものコミュニケーションを取ろうという意欲や興味を大きく削っているということを、目の当たりにしているからです。
なので、アイアルクでは、コミュニケーションを能力のような形で評価の対象にはしていません。
しかし、大事な教育する対象として育むつもりで活動をしています。
特に、アイアルクのレッスンの中では、子どもたちの最後のまとめの時間や、時を見て発表の時間を取ります。
そういった中で、子どもたちとコミュニケーションをしっかり取り、そのコミュニケーションを取ってきた時間を積み重ねることを、すごく大切にしています。
講師にも伝えていること
このことは、アイアルクの講師を採用した時の最初の研修で、講師たちにも叩き込んでいます。
講師たちには、コミュニケーションを能力やスキルでやるなと伝えています。
能力とかスキルとかでやろうとすると、やらしいでしょ?。
ちゃんと人間らしく、付き合ってあげてね。
そう講師には伝えています。
お母さんたち、お父さんたちにも、アイアルクのコミュニケーションに対する考え方を、そのように見ていただければと考えております。

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