AIについての先日の記事にたくさんの反響をいただきました。AIをどう活用するのかということに関心が高まっているのを感じています。
今回は、アイアルクの教室の中で行われている具体的なAI活用について、Q&A形式でご紹介します。
Q. アイアルクでは、どんな場面でAIを使っていますか?
アイアルクで生成AIを活用しているのは、主にロボ部やゲーム部の最上級生にあたる子たちです。
自由制作の中で、自分の課題を見つけて、
「こういうものを作りたい」
「ここをもっと工夫したい」
というところまで来ている生徒たちに対して、AIを活用しています。
AIは、子どもたちにとっての壁打ち役であり、時には教師役のような存在です。
ただし、AIに答えを丸投げしているわけではありません。
生徒がAIに質問し、その答えを見ながら、講師も一緒に考えます。
「これはこういう意味だね」
「ここを変えると、もっとこういうことができそうだね」
「この方法なら、次はこう進められそうだね」
そうやって、生徒と講師が一緒に学びながら制作を進めています。
Q. なぜAIを使う必要があるのですか?
ロボ部やゲーム部の上級生になると、生徒たちの作りたいものはかなり高度になってきます。
Blenderで本格的な3Dモデルを作りたい。
Bluetooth通信を使って、ゲームコントローラーでロボットを動かしたい。
自分だけの仕組みや作品を作ってみたい。
こうした制作になると、必要な知識の幅はとても広くなります。
アイアルクの講師陣も日々勉強していますが、それでもすべての分野の専門知識を、講師だけで完全にカバーすることはできません。
そこで、AIの出番があります。
AIには、プログラミング、3D制作、通信、電子工作など、さまざまな分野の知識が蓄えられています。
その知識を活用することで、生徒が本当に作りたいものに近づきやすくなります。
Q. 子どもたちは、自分でAIに質問しているのですか?
これは両方あります。
生徒自身がChatGPTやGeminiに質問することもありますし、講師が横について一緒に質問の仕方を考えることもあります。
たとえば、生徒がつまずいているときに、
「AIにどう聞けばいいかわからない」
ということがあります。
その場合は、講師が横について、
「こういうふうに質問すると解決しやすいかもしれないよ」
「今知りたいことは、こう整理すると伝わりやすいよ」
とアドバイスします。
また、AIが出してきた答えを見て、生徒が
「これはどういう意味ですか?」
と聞いてくることもあります。
そのときは、AIの答えをそのまま受け取るのではなく、講師と生徒が一緒に読み解いていきます。
アイアルクでは、AIの使い方そのものも、学びの一部になっています。
Q. 具体的には、どんな活用例がありますか?
ひとつ目の例は、Blenderで鉄道の3Dモデルを作っている生徒です。
その生徒は鉄道が好きで、自分の作りたい車両や形がはっきりしています。
鉄道のモデルを作るには、微妙な流線形を表現したり、窓を等間隔に並べたり、細かい調整が必要になります。
効率よく進められる部分もあれば、人間の手で微調整しなければいけない部分もあります。
見ていて、とても良い教材だと感じます。
基本的には、先人たちが作ってくれた動画や解説を見ながら制作を進めています。
ただ、Blenderは非常に多機能なソフトです。
「こういう形を作りたい」
「この操作をするにはどうしたらいいのか」
「どの機能を使えば目的の形に近づけるのか」
そういうときに、AIが道しるべのような役割を果たしています。
AIが代わりに作品を作るのではありません。
生徒が自分の作りたいものに近づくために、必要な操作や情報にたどり着く手助けをしてくれています。
Q. ロボット制作では、どのようにAIを使っていますか?
もうひとつの例は、ゲームコントローラーでロボットを動かそうとしている生徒です。
その生徒は、自分でゲームコントローラーを複数持ってきて、それをロボットに接続しようとしています。
ただ、コントローラーによって通信方式が違ったり、受け取れるメッセージが違ったりします。
型番を調べ、通信方式を調べ、どんな信号が出ているのかを確認するだけでも、かなり時間がかかります。
そこで、コントローラーの型番をAIに入力し、
「このコントローラーと自分のロボットをどう接続できるか」
「どんなメッセージを受け取れるのか」
といったことを調べながら進めています。
AIを使わなければ、こうした調査だけでかなり長い時間がかかっていたかもしれません。
場合によっては、1か月かかってもおかしくないような作業です。
それが、AIを使うことで、短い時間でメッセージを受け取るところまで進めることができました。
これはとても大きなことです。
子どもたちが本当に考えたいのは、型番調査そのものではありません。
本当に考えたいのは、
「受け取った信号を、どうロボットの動きに使うか」
という部分です。
AIによって、調査で心が折れる前に、本当に考えたいところまでたどり着ける。
そこに大きな意味があると感じています。
Q. AIに任せすぎる心配はありませんか?
保護者の方の中には、
「AIを使うと、子どもが自分で考えなくなるのではないか」
「成果物を作るためのズルになってしまうのではないか」
と不安に思う方もいるかもしれません。
アイアルクでは、AIをそういう使い方にはしていません。
AIを、成果物を手早く作るためのズルい近道として使うのではなく、作りたいものを作るための道具として使っています。
そして、それは講師がただ「そうしなさい」と言っているからではありません。
アイアルクには、ものを作ること自体を楽しむ文化があります。
生徒たちは、自分でプログラムを書くこと、自分で形を作ること、自分で試行錯誤することを楽しんでいます。
だからこそ、その一番楽しい部分をAIに丸投げしようとはあまりしません。
自分でできることは、自分でやる。
自分だけでは時間がかかりすぎるところや、調べる道のりが長すぎるところで、AIを道具として使う。
そういう使い方が、自然に生まれています。
Q. アイアルクでは、AIをどんなものとして見ていますか?
AIは、ただ答えを出す機械ではありません。
私たちから見えているのは、画面上の文字入力欄かもしれません。
しかし、その裏側には、これまでコンピューター技術を積み上げてきた多くの人たちの知識があります。
ChatGPTの向こう側には、実際にその技術を作ってきた生身の人間がいます。
名前も顔も見えないかもしれません。
けれど、その先には、確かに人間が積み上げてきた知識があります。
AIを使うということは、時代も場所も越えて、直接出会うことのできない師匠たちの知識に触れることでもあります。
アイアルクでは、子どもたちにそういう感覚も持ってほしいと考えています。
Q. AIを使うことで、子どもたちにどんな力が育つと考えていますか?
AIを使うことで大事なのは、AIに何でもやらせることではありません。
むしろ、AIにできることと、できないことを冷静に見極める力が大切です。
自分でできることは、自分でやる。
AIを使った方がよいところでは、道具としてうまく使う。
AIの答えをそのまま受け取るのではなく、自分の目的に合わせて読み解く。
そうした経験を積み重ねることで、AIと付き合うためのリテラシーや素養が育っていくのだと思います。
アイアルクの生徒たちがAIに対して短絡的に
「プログラムを全部作って」
とあまり言わないのは、ある程度自分で作れる力があるからです。
自分で作れるからこそ、AIに任せるところと、自分でやるところを判断できる。
これは、これからの時代にとても大切な力だと感じています。
Q. これから、アイアルクとAIでどんなことが起きそうですか?
アイアルクの子どもたちは、自分の作りたいものを持っています。
そこにAIという道具が加わることで、これまで以上に制作の幅が広がっていく予感があります。
もちろん、まだすべてが形になっているわけではありません。
けれど、教室の中を見ていると、アイアルクとAIの掛け算によって、大人がびっくりするようなものが生まれてきそうな雰囲気があります。
これは、あとから成果が出てから言うのではなく、今のうちに言っておきたいことです。
子どもたちの「作りたい」という気持ちと、AIという新しい道具が出会ったとき、どんなものが生まれるのか。
私たち自身も、とても楽しみにしています。

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